「えがお  つなぐ  ものづくり」深沢組

睡眠のこと

睡眠のこと

世界有数の疲労大国と言われる日本。
寝ても疲れが取れない。起きた時から疲れてる。という方も多いと聞きます。

疲労の原因は様々ですが、肉体的疲労も精神的疲労も自律神経の疲弊、つまり脳の疲弊からくるものなのだそうです。

自律神経は、人体が活発な時にはたらく「交感神経」とリラックスしている時にはたらく「副交感神経」から成り立っています。
その「交感神経」が優位な時間が続くと脳が疲れます。逆に言えば、「副交感神経」がはたらく時間を増やして自律神経のバランスを整える事が疲労回復へつながるわけです。

先日、お客様と打合せの際「睡眠の質をあげたい」とのご要望をお聞きしました。良い機会なので『睡眠』に関するところで私の持っている知識に少し調べ物で補足をしつつ、深沢組の家づくりでお手伝いできる事をまとめてみました。

①光

人の体は朝日で目覚め、夕焼け色の光で眠りの準備に入る本能があるといわれます。その為、 体のリズムに合わせた光の計画を考える必要があります。

ご紹介したいおもしろい実験があります。

寝る2時間前に過ごす部屋の照明条件を変化させるという実験です。
3日間は通常の照明 (明るい白っぽい光:高照度・低色温度) で過ごし、 その後7日間を通常の照明 で生活をする青グループと、通常の照明から、寝る2時間前にリビングの照明照度を下げた(50lx以下の赤っぽい光:低照度・高色温度)住環境で生活するオレンジグループに分け、入眠時間と起床時間の変化を調べるといったものです。

出典:江戸川大学 福田一彦教授 / 住環境研究所

オレンジグループは、青グループに比べ、入眠時間が32分、起床時間が61分早くなり早寝早起きになっています。逆に白っぽい光で1日過ごすと夜更し化・朝寝坊化が進みます。この実験から赤っぽい光は白っぽい光に比べて睡眠に誘導しやすい光だという事が実証されています。
1日の体のリズムに合わせて、光の変化を感じる事でぐっすり眠れる環境を作れます。

以上の事から、朝・昼はしっかりと日射を取り入れ昼光利用(パッシブデザインの特徴の一つです)し、夜間は照度を落とした夕焼けのようなあたたかみのある光にするなどの“光の変化”も快適な睡眠の要素になります。

②無垢材の効果

深沢組では床材は長野産の松の無垢材を基本仕様としています。
肌触りも気持ちよく、木目も優しく空間がやわらかくなるような木で、本当に大好きな材料なので基本仕様としています。
それ以外の理由として、お隣の長野県の木を使う事は山林の活性化につながったり、運送に掛かるエネルギーを少なくできたりと地産地消(お隣の県ですが)、環境的な意味合いもあります。

さらに、住まい手の方々にとってのメリットをご紹介します。

出典:林野庁「 木材は人にやさしい 」

木材率の異なる部屋における人のリラックス度の調査です。木材率というのは、部屋全体の仕上面積(床・壁・天井)の合計のうち、無垢の木が占める割合です。
グラフを見ると仕上面積のうち30%程度木質化した部屋には人をリラックスさせる効果があります。45%になるとワクワクを感じ活動的になるようです。
このことから、リビングは30~45%程度、寝室は30%程度木材を仕上げに使うと良いですね。

また無垢材を利用する際、ウレタン塗装やガラス塗装と違い、無塗装とオイル塗装の木材は、触れた時に副交感神経を活性化させるという報告もあります。

副交感神経を優位にすることで自律神経のバランスが整い、疲労軽減につながると前述しました。
無垢材はお部屋全体のバランスと手や足が触れる場所の塗装方法も考えておきたいですね。

③ゆらぎ 

自然界で生まれる不規則なリズムには、ろうそくの炎、小川のせせらぎや微風などの自然現象で見られる「1/fゆらぎ」 の法則が存在します。 この規則性がありながらもどこか不安定な「ゆらぎ」の中にいると副交感神経が優位となりリラックスすると言います。

無垢材の木目、左官壁のテクスチャー、窓から見える庭の木の揺れや木漏れ日、窓から入る日差しや風にも「ゆらぎ」の要素があります。その要素を住まいの各所に取り入れ、自律神経を整えることで、心地よい睡眠に繋がります。

パッシブデザインの昼光利用と通風は、省エネだけでなく心地よさにもつながるんですね。

まとめ

・光の変化を感じられる照明計画を(昼は昼光を利用、夜は赤っぽい暗めの照明を)
・無垢材をバランスよく使う。
・「ゆらぎ」を感じる。仕上げ、太陽光、風、窓から見える景色など。

この3点を気に掛けると睡眠の質は向上すると言えそうですね。

おまけ

人が快適さを感じる温度には個人差があります。一般的に男性は低めの温度を、女性は高めの温度を好むと言います。男性の方が筋肉量が多いためです。
また、共働きで生活リズムがずれている(夜勤がある、出勤時間が数時間ずれているなど)ご家族も少なくないと思います。
より高い睡眠の質を求めるのであれば、寝室を分けたり、ベッドを離したりするなど、ご家族がそれぞれしっかりと睡眠をとれる工夫をしても良いかもしれません。

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